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国語講座「文学散歩本郷」 2016年3月24日(木)実施

毎年恒例の文学散歩。今年度2回目の開催です。
今回は、文京区本郷界隈を散策しました。

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「本郷もかねやすまでは江戸のうち」
本郷三丁目の駅を出ると、すぐ近くに「かねやす」という雑貨店があります。江戸時代、このかねやすの敷地までが「江戸」と呼ばれていたそうです。

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「廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お齒ぐろ溝に燈火うつる三階の騷ぎも手に取る如く......」『たけくらべ』
5000円札の肖像画でも有名な樋口一葉は、本郷にゆかりのある作家です。ここは樋口一葉の旧居跡。樋口一葉も使ったといわれる井戸水は今でも使うことができます。

 

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「三四郎がじっとして池の面を見つめていると、大きな木が、幾本となく水の底に映って、そのまた底に青い空が見える。三四郎はこの時電車よりも、東京よりも、日本よりも、遠くかつはるかな心持ちがした。」『三四郎』
東京大学構内の心字池です。夏目漱石『三四郎』に登場する池として有名で、三四郎池と呼ばれています。

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「さて本郷三丁目で電車を降りて、追分から高等学校に附いて右に曲がって、根津権現の表坂上にある袖浦館という下宿屋の前に到着したのは、十月二十何日かの午前八時であった。」『青年』

森鷗外『青年』にも登場する根津神社でひと休みです。水のみ場の土台は森鷗外が寄進したもので、鷗外の本名「森林太郎」の名が刻まれています。

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「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。」『吾輩は猫である』
夏目漱石旧居跡です。猫好きだった漱石にちなんで、猫の像も置かれています。近くに「一炉庵」という漱石ゆかりの和菓子屋さんがあり、最中をいただきました。

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「石炭をばはや積み果てつ。中等室の卓のほとりはいと静にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒なり。」『舞姫』
森鷗外記念館です。観潮楼と呼ばれた、鷗外の旧居跡にあります。数年前にリニューアルし、近代的な建物の中で鷗外の足跡を見ることができます。

あいにくの雨でしたが、坂の多い本郷を元気に散策しました。
大きな通りでも、ちょっと裏道に入るとあっという間に明治時代にタイムスリップできます。
漱石や鷗外の作品を読む際のヒントになりそうなところも発見! 
また当日は東京大学の卒業式。ガウンとキャップを身につけた卒業生たちがとても素敵でした。