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学校長の部屋

「夢は叶うもの、思い強ければ」

DSC02995.JPG本日、全校生徒・希望保護者・一般の方を対象に講演会を開催いたしました。

講師は、阿蘇風の丘美術館の大野勝彦氏です。テーマは「夢は叶うもの、思い強ければ」です。大野氏は、45歳のときトラクターの清掃中に回転するドラムの中のゴミを取ろうとし、誤って両腕を肘から切断するという事故にあいました。それまで絵を描いたり、毛筆で字を書いたりすることがなかった大野氏は、この事故をきっかけに絵を描き、字を書き、美術館を建設するまでになりました。本日は、人生の転機となった事故のことからこれまでを中心にお話していただきました。

DSC02989.JPG25年前、大野氏が自宅の庭でトラクターを清掃していたとき、誤って両腕を挟まれてしまいました。そのとき、「誰か助けてくれ。」と叫んだそうです。その声で家の中にいた大野氏のお母さんが飛び出てきたのですが、トラクターのエンジンの止め方が分からず、おろおろするばかりだったようです。もしもそのとき、お母さんがエンジンを止めていたら腕をなくすことも無かったのではと、しばらくお母さんに辛く当たったとのことでした。大野氏は、それまで亭主関白で、お子さんたちともあまり口をきかず、入院したときには見舞いにも来てくれないと思っていました。しかし、お子さんたちは病室に毎日のようにDSC03003.JPGやってきて、明るく接してくれていたそうです。子どもたちがなぜ明るく話しているのかが分からなかったようですが、そんなとき看護婦さんからお子さんたちが病室に入る前、出てきた後、いつも涙を流しているということを聞き、自分のために一生懸命励ましてくれていたということに気づいたそうです。それ以来、子どもたちや周りの人たちの優しさを強く感じるようになり、感謝するようになっていったとのことでした。しかし、自分のためにいつまでも悔いているお母さんを喜ばせることができず、お母さんを喜ばせたい一身で美術館を作ると宣言してしまったそうです。それからお母さんの表情が明るくなっDSC03006.JPGていくのが分かり、自分がなんとしても美術館を作らねばと感じたようです。そんなとき、それまでお世話になった人たちや、自身が講演会を行って接してきた多くの方々の援助があり、阿蘇に美術館を建てることができたとのことでした。

大野氏は、事故のことを「分からない自分に、神様が分かるようにしてくれた。」と考えています。周りの人から「大野さんには、チャンスがたくさんやってきますね。」と言われるそうですが、常に依頼があれば「はい、わかりました。」と感謝の気持ちを込めてやらせていただいているだけだと言います。事故以来、感謝の気持ちを忘れず前向きに人生を歩んできた大野DSC03011.JPG氏だからこそ美術館の建設までできたのだと思います。また、「夢は叶う。思いがあればできる。叶わないのは思いが足りないからだ。」ともおっしゃられました。生徒たちにも、その思いが届いたのではないでしょうか。

そして、「自分の手に感謝し、親にも感謝し、今日家に帰ったら親と握手をしてください。」と語られました。最後に、「夢は叶う、思い強ければ、感謝、感謝」と、私たちの目の前で実際に筆で大きく書いてくださいました。

義手を使って字を書いたり、絵を描いたり、コップのお茶を飲んだりと悲壮感無く当たり前のようにしている大野氏を見ていDSC03015.JPGて、本当に強い人だなと感じました。きっと、生徒たちは自分の生活・目標への努力などに勇気をいただいたことでしょう。

大野勝彦様、熊本・阿蘇から自修館のためにはるばるお越しくださり、本当にありがとうございました。