7月に入り、昼休みや放課後には各クラスから合唱のきれいなハーモニーが聞えてきています。本校では、毎年8月下旬に1~5年生が一堂に会した合唱コンクールを開催しています。会場の収容人数の関係で、外部の方に観覧いただくことができず残念ではありますが、とても素敵な一日を過ごすことのできる行事です。
普段、1~3年生は音楽の時間にクラス合唱の練習を実施しています。4・5年生は音楽と美術の選択となるため、全員で音楽の授業中に練習と言うわけにはいきませんが、そこは上級生、それまでの経験を活かし自分たちで計画的に時間を作り練習をしていきます。例年であればこれで本番までいくのですが、今年は前期課程生にさらに基礎基本をしっかりと身につけ、4・5年生たちを脅かせてもらおうと、本日特別講師をお招きして合唱指導をしていただきました。特別講師は、富澤 裕先生です。富澤先生は、「Tomorrow」「BELIEVE」「君をのせて(天空の城ラピュタの主題歌)」「この星に生まれて」「COSMOS」
「With You Smile」など多数の曲の編曲を担当され、小学生から大人まで数多くの人々に合唱指導をされておいでです。昨日・一昨日の2日間で、23校もの小学校の合同合唱練習指導をしてきたと伺いました。そんな過密スケジュールの中、本校のために丸一日(各学年2時間ずつ計6時間)を空けてくださり、本当に感謝の言葉しかありません。
実際に先生の指導されるところを拝見していたのですが、音楽に対する真剣さとその活動的なところからどんどん引き込まれていくのが分かりました。そして、どの学年も始まりと終わりでは雲泥の差が私でも分かるほどになっていました。先生は、「自分たちができると思うところまで、こんな声が出ると思うところまで必ずできる。合唱はみんなで行うところに楽しさがあり、一人ひとりの掛け算だ。一人ひとりが1×1×1...となれば必ず1という数字が残る。でも、その中に0(やる気が無い)が入れば、数字は0になる。誰か一人でも自分はいいやという雰囲気を作れば周りの人の努力は0になるんだ。」と仰られていました。
先生には2時間かけて1学年ずつ教えていただいたのですが、小手先の技術を伝えるのではなく、自分たちの力で変われるという根本的な取り組む姿勢・考え方を子どもたちに分からせてくださったように思います。時に真剣に叱られたクラスもありましたが、それは上手下手ではなく、やる気をもって臨んでいるかが伝わってこない場合でした。大部分の時間は「そう、その声!できてるよ!ぜんぜん違ってるよ!」などの本当に生徒たちを褒める言葉、適切なポイントの声がホールに響いておりました。まさに叱咤激励されながら、きっと生徒たちは真剣に取り組んだ者にしか感じられない終わった後の心地よさを体感できていたことでしょう。
最後に質問に来た生徒がいたのですが、「これからクラスの合唱をさらに良くしたいと考えていますが、そのためには一言で言って何が大切だと思いますか。」と聞いてきたのです。先生は迷わず、「一人ひとりがうまくなりたいと思うことです。これでいいと現状で良しとせず、さらにもっとできる、もっとうまくなりたい、そう思う人の集団になれば、必ずやっていて感動するようになるよ。」と答えてくださいました。
まだまだ練習不足の生徒たちに対し、本当に熱心に最後まで指導してくださった富澤先生には、申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。本番の合唱コンクールまでに今日の指導が活かされることが、先生への御礼になると思いますので、生徒たちにはさらに変わっていく姿をぜひ見せてほしいと思います。多忙な先生ですが、合唱コンクールの日に来れるかどうか調整してみてくださるとのことでした。もし、どうしてもダメな場合は、本校で毎年作成しているDVDにて生徒たちの本番の様子をご覧いただこうと考えています。
クラスのまとまりを作るという意味でも、本当に貴重な一日になった確信しています。