本日は水曜日ですので、「探究」の授業がある日です。本校の建学の精神の中に「明知」という言葉が出てくるのですが、この言葉の説明をするときに『正解を答えるのではなく、より良い解答を目指すこと』と話します。世の中には正解がひとつとは限らないものや正解がないものがあったりします。ものごとの本質であったり、真理であったりを様々な角度・切り口からとことん深く究め、自分なりの意見を持ち説明ができるようになることが大切だということです。この「明知」をもとに生まれたのが、本校独自の授業である正課「探究」です。
中学生の発達段階では、とても柔軟な頭を持ち吸収力があります。そして、自らの興味のあることにはさらに吸収力が高まります。探究の授業は、自らが設定した独自のテーマを様々な角度から調べていきますから、やりたいもの・調べたいものがある生徒にはたまらなく有意義な時間となります。やりたいことがない生徒は、やりたいことを見つける・考える機会になります。先ほど探究の時間中に校内を見回っていると、教室の前にあるパソコンでなにやら調べているグループがいたので声をかけてみました。彼らは個々に鉄道に関することを調べているのですが、共通する部分においては情報を分かち合っている
とのことでした。彼らのゼミ担当教員からは、「昨年のFW(フィールドワーク)で、ある電鉄会社へ会社訪問のアポイントをとったとき、先方からは『忙しくて対応できないので、質問があるなら文書で送ってほしい。』と断られたんですが、ただちに質問状を送ったところ『質問が非常に細かすぎて文章での解答では説明が難しい。直接会って話がしたいので、一度来てほしい。』となったのです。それだけ、この子たちの調べは専門的なんですよ。」と、教えてくれました。
また、探究での調べは生徒たちの将来へも大きく影響しています。卒業生の中には「探究でのテーマをさらに本格的に調べていきたい。」と、進むべき大学・学部・学科を決めた者も少なくありません。中には大学へ行かず専門学校をあえて選ぶ者もおり、自分の生涯をかけて取り組むことを見つけていくこともありました。先日、その卒業生が校長室に来てくれました。彼女は鍼灸の専門学校へ行き資格をとり、今は実際に患者さんに針を打っているそうです。これまでは先生について教わりながら行っていたのですが、ついに自分ひとりで最初から最後まで針を打つことができるようになったとのことでした。会話の中で、「もし、自修館に探究の授業がなかったら、自分はこうして真剣に鍼灸の道を志してはいなかったと思います。本当に感
謝しています。」と話してくれました。そのときの彼女は、とても輝いて見えました。
探究の授業を通して調べ方やまとめ方を学ぶのは当然ですが、こうして自分自身と向き合う機会を作るという点においても生徒の成長になると考えています。そして、生徒たちにはこれからの人生を切り拓く力を身につけ、確固とした自己を持つ魅力ある人になってほしいと願います。