本日は、先週の土曜日に行なわれたJEQ子育てセミナーについて紹介したいと思います。
テーマは『思い込みと信念の区別とは』~子どもの将来へ一本の心柱をつくる~です。
講師の松下信武先生は、はじめに「生きがいについて」(神谷美恵子著・みすず書房)の中から『使命感というものは多くの場合、はじめは漠然としたもので、それが具体的な形をとるまでには年月を要することが少なくない。ナイチンゲールは6歳の時からそれに悩んで来たが、彼女がはっきりと自己の進むべき道を見い出したのは25歳の時、実際に道がひらけたのは34歳の時であった。(中略)この使命感は、内面的な幸福のためにどうしても必要な本質的要素であったことがわかる。(後略)』という文章を引用されました。そして、「使命感は意識であり、その意識を氷山の水面より上に見える部分と捉えれば、水面下にある大きな部分がしっかりと支えていなければ安定しない。この水面下の部分(心の土台)は、人に対する信頼(共存への意思)によって安定する。そのためには、親や周りの人たちから愛情を受けていることが望ましい。」と話されました。そして、レ・ミゼラブルのジャン・ヴァルジャンが司教との出会いによって気持ちが変化する場面を映し、心を閉ざして不安定な状態にいたとしても人との出会いなどがきっかけで変化できることを例として紹介されました。
その後、使命感のでき方を信念にもあてはめ、「思い込みとは、第一印象や他からの受け入れ・何かあるものを正しいと思うこと。検証をしていない漠然としたものである。そこに経験を積み、検証・行動を伴っていくことで自分の中で確固としたもの(信念)へと成長していく。これは苦しみ抜いてできあがることが多い。」と話されました。そして、思い込みを信念へと成長させるために親子の対話をどうすればよいかという話しに入りました。
先生は、クララ・ヒルのヘルピング三段階モデルの『自己探索段階・洞察段階・アクション段階』を用いて、親として子どもへの注目・傾聴、意見の仕方、子どもの世界観の広げ方などを話されました。
「自己探索段階において、傾聴は先に正しいか誤っているかを親の考えで断定してしまうのではなく、事実は何なのかをしっかりと聞くことであり、その考えが目的に沿っているならば承認してあげることが大切である。それにより信頼関係が強くできる。そして、洞察段階では、押しつけではなく、親としての意見を愛情を持って伝え続けることが必要。そうすることで子どもは思考し続け、考えの幅を作りまとめていくことになる。アクション段階では、子どもの世界観を広げるために様々な物を見せたり、情報提供をすることが大切。そこで子どもたちは、漠然としたものから確固としたものへと変えるきっかけをつかむことになる。」と話されました。
最後に、思い込みを信念へと成長させるための親子の対話では、親はコーチングでもカウンセリングでもなく、メンタリングをするほうが良いと仰られました。メンタリングとは、教えたり励ましたりするなど人を支援する行動のことです。目標を良い意味で広く漠然としたものとし、コーチングのような特定な領域に限定せず、様々な分野での幅広い話を提供し、良き相談相手になることだと話されました。
普段、私も教員たちや生徒たちに信念を持って行動するようにと話をすることがあります。今回のセミナーでは、どうすれば信念を持った生徒に育てることができるか学べたように思います。保護者の皆様には最後にアンケートを取ったのですが、ほとんどの方が今回のセミナーに「大満足」「満足」という感想を持っていただけました。また、多くの方が今後の子どもたちへの接し方に活かしていきたいと記載しておりました。
JEQ子育てセミナーは、来年度も年3回実施する予定です。卒業生保護者の方でも遠慮なさらず、ご参加ください。今回も卒業生保護者の方が数名参加してくださいました。
来年度も、ぜひよろしくお願い致します。