自修館は、こころが育つ進学校。しっかりと、のびのびと「生きる力」を身につけます。

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学校長の部屋

あれから3年

3・11、この数字を忘れることはないでしょう。そして、そのできごとも忘れません。「忘れられることが心配、不安」という言葉を夏の岩手ボランティアの際に何度も聞きました。しかし、私にとって、あの衝撃的な東日本大震災を忘れることはできません。今でこそ復旧が進み瓦礫の山はなくなり、三陸鉄道も開通しましたが、3年前の5月に初めて岩手の宮古へ入ったときの光景は脳裏から離れません。震災から2ヶ月後のことでしたから、いたる所に瓦礫が散乱し、津波から人命を守るはずだったスーパー堤防は基礎から抉られた状態でした。そこで実際に津波の被害にあった方々は、どんなに怖かったことでしょう。私には想像もつかず、ただただその光景を見ていたのを覚えています。自衛隊や警察、数多くのボランティアのおかげでライフラインこそ復旧していましたが、まだまだどこから手をつけてよいのか分からないという言葉が相応しい状況が、海岸線何百Kmと続いていました。そして、テレビなどの映像では絶対に分からないその状況の臭いがありました。堪りませんでした。

 

DSC00865.JPGあれから毎年、本校では夏休みに4・5年生にボランティアを募り、宮古の田老へ行っています。(昨年、私は他の用事と重なり行くことができませんでした)行くたびに復旧が進んでいるのを感じます。でも、それは物の話であり、人の心の復旧はそんなに安易なものではありません。仮設住宅に入っている方からは、「震災の話しをしたくなかった。でも、話して伝えていかなければ、今回のことが教訓にならない。」と、震災から1年経ったとき、お話を聞かせていただきました。その方たちに『私たちはどんなことができるのか。』そう考えると、私たちの力の小ささを痛感してしまいました。でも、難しく考える必要はなく、私たちDSC00866.JPGにもできることがあると分かりました。それは、繋がっていること、特別なことをするのではなくても「一人ではないですよ。」と伝えていくことです。そして、その思いを持って生徒たちは自分たちのできることを行ってきています。昨年は灯篭づくりをお手伝いしてきたそうです(探究文化発表会に展示していました)。「交流を続けることで絆は強くなる、忘れるはずはない。」の気持ちを、これからも大切にしていきたいと思います。

3年前、ボランティアで瓦礫の撤去などを行なった日の夜、ある生徒が「自分たちの力は微力だけれど、無力ではないと感じた。」という言葉を残してくれました。原発問題や復興計画などDSC00862.JPG国や県、市などのレベルで行なうことを我々ができるはずはありません。今、こうして震災から3年が経ち、被災者の方全員のためになることはできなくても、我々には我々レベルで支援ができることがあり、それを続けていくことが大切だと考えます。

今年も夏休みに田老へ伺いますから、ぜひ待っていてください。